環球時報社説(2023.02.21)「中露の友好、それは世界のポジティブな財産だ」

 2月21日の中国共産党機関紙、人民日報の姉妹紙『環球時報』の社説「中俄友好,这是世界的正资产(中露の友好、それは世界のポジティブな財産だ)」の内容を紹介する。

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 要旨は以下の通り。

  • ロシア・ウクライナ戦争の勃発一周年に当たり、西側国家が中露の「同盟」を喧伝したり、中露の「友好は久しくない」と離間を図ったりしている。アメリ国務長官ブリンケンの「中国が致死性の武器を提供しようとしている」という根拠のない宣伝は、世論を盛り立てて中露の正常な交流に圧力をかけるためである。
  • アメリカは、中露の友好関係をひどい色眼鏡で見ている。実際、ウクライナ戦争が起ころうと起こるまいと、アメリカは中露の友好関係発展の妨害をずっと試みてきた。
  • アメリカは地政学的な私心から、ウクライナ戦争をあおっており、これが停戦できない原因である。中国と各国の関係を発展させることは、もともと私心なく公明正大なものであった。ちょうど、王毅がブリンケンとの会談で直接「中露関係のパートナーシップは、同盟しない、対抗しない、第三国を対象としないという三原則の基礎の上に立っており、二つの独立国家の主権の範囲内の問題である」と言ったようなものである。アメリカは、中露関係に口を出す資格もないし権利もない。
  • 王毅ミュンヘン安保会議でウクライナのクレバ外相と会見した。ウクライナは、中国の政治的交渉によって危機を解決するという立場を重視し、中国に対して建設的な役割を果たすよう期待していると述べた。ゼレンスキーは北京がモスクワに軍事援助を行っている証拠はないと述べた。
  • 中国はウクライナ危機の長期化・拡大を望まない。これは十分誠実な態度である。ウクライナ戦争勃発当初、中国は「四つのすべき(四个应该)」を提起した。①各国の主権と領土の一体性は尊重されるべき②国連憲章の趣旨と原則は遵守されるべき③各国の筋の通った安全についての関心は尊重されるべき④すべての機器を平和的に解決するのに役立つ努力は支持されるべき。中国は一貫して、戦争に勝者なく、複雑な問題に簡単な解法はなく、大国の対抗は避けられなければならないと主張してきた。

 中露関係についての社説であるにもかかわらず、アメリカを意識した内容である。若干苦しいのは、中国はウクライナ戦争の拡大を喜んでいないとしつつも、中露関係を発展させることで停戦に資することができるのかということについてきちんと説明が与えられていないことであろうか。中露関係を発展させることは、確かに中国自身の外交戦略としてあるだろう。それが、後段のウ露間の和平につながるものになっていないという点が、西側の不信をあおっているのではないのか。中露関係が不安定化する、例えば対抗関係になることのほうが世界の平和にとって良くないのだと主張するなら筋も通るだろうが……

 同じような主張は、外交部長秦剛の発言にもみられる。

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 特に「今日のウクライナは明日の台湾」というフレーズには強烈に不快感を示している。中国は、痛くもない腹を探られるのは勘弁してくれと思っているのか。