王毅のロシア訪問

 王毅のロシア訪問について、随時まとめていく。

 22日朝の記事。「中露戦略安全協議メカニズム双方の責任者が会談」

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 王毅とロシアのパトルシェフが会談したという。ウクライナ問題についても議論。

 

 王毅はラブロフ外相とも会談。

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 パトルシェフより内容が突っ込んで報道されている。王毅は中露の新時代の全面的な戦略パートナーシップ関係をハイレベルで進めていく。国際情勢がいかに変動しようとも、中国はロシアとの新型大国間関係の良好な発展態勢を維持したいと考えている。ラブロフは、中国との関係を非常に重視しており、両国元首との間におけるコンセンサスをしっかりと実行する。戦略パートナーシップ関係を発展させる。国連などの多国間システムの中で協調し、ともに国連憲章の趣旨と原則を守り、覇権主義や集団対抗に反対する。

 

 そして王毅プーチンの会談である。

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 王毅の発言は以下の通り。現在の国際関係は非常に厳しいが、中露関係は国際的風雲の試練を経て、堅固に成熟し、泰山のように確かである。危機と混乱は、常に我々の目の前に現れるが、困難と機会は共存する。これすなわち歴史的弁証法である。中露の新時代の全面的戦略パートナーシップは、第三国を相手にしたものではなく、第三国の干渉は受けず、ましてや第三国の脅迫は受けない。中露関係は、しっかりした政治・経済・文明的な基礎を持っているため、そして歴史的経験から寛容さや冷静さを有しているため、さらに両国はともに世界の多極化と国際関係の民主化を支持していることが、時代の流れに合っているために、大多数の国家の願いに合致しているのである。中国はロシア側とともに、戦略的集中を保ち、政治的信頼を高め、戦略パートナーシップを強め、誠実に協力を拡大し、両国の正当な利益を守って、世界平和と発展の促進のために両国の建設的な力を発揮したいと考えている。

 プーチンは、王毅習近平主席に挨拶を伝えるように依頼した上で、以下のように発言した。中国共産党の20回大会は中国の発展の新しい未来図を切り開いた。現在露中関係は、規定目標に向かって前進しており、双方の各領域ならびに、上海協力機構・ブリックスなどの多国間組織の中における豊富な成果、国際事務の中で団結・協調を強めていることは、国際関係の民主化と国際システムのバランス・安定に重要な意義を持っている。

 双方は、ウクライナ問題について意見交換を深く行った。王毅は、ロシア側が何度も対話交渉によって問題を解決しようとしていることを高く評価した。中国側は、一貫して客観公正な立場をもって、危機を政治解決するために建設的な働きを発揮する。

 

 よく出てくるのは、国際関係の「民主化」というキーワードである。現在の国際関係を欧米列強によって作られた「非民主的」なものとみなし、国際関係の多極化を通じて「民主化」したいという意図である。この点で、中国は現状の国際秩序に対して「修正主義者」としてふるまっている。欧米列強によって作られた秩序は、多くのグローバルサウス諸国にとっても面白くないのであるから、彼らにとって魅力的なアピールをしなければならないのだが、現状そうなっているようには見えない。というのも、「民主化」された秩序というものの内実が見えてこないからである。

 各会談において、ウクライナ問題について協議したという発言は見えるが、実際にどのような発言を双方がしたのかということについては、不明である。非公開で詳細な中国の独自の「和平案」が提示されている可能性は、ないとは言えないが、高くはなさそうである。一方、極秘裏にロシア側に武器支援を提案した可能性も低そうである。